保護命令申立には気を付けましょう?

こんばんは,ホスピタリティ弁護士の長屋です。

さて,今朝の新聞によると,「ストーカー規制法」の改正法案が提出されるようですね。この改正法案で,「メール送信すること」が「つきまとい等」に追加されるようです。どのような表現になるか分かりませんが,新聞には「相手に拒まれたにもかかわらず繰り返し電子メールを送信する行為」とありました。要するに,嫌がっている相手にしつこくメールすると「警告」や「禁止命令」が出されるということですね。


また,これまで被害者(申出した者)の住所地を管轄する警察本部長等や公安委員会が「警告」「禁止命令」を出していましたが,加害者の住所地を管轄する警察署でも可能になるようです。さらに,「警告」が出された場合は,被害者に通知してもらえるそうです。

前回の続きですが,「ストーカー規制法」も「DV防止法」も女性保護のイメージが強いです。女性に限定している訳ではありませんが,一般的に弱者ですから理解できます。

ただ,「DV防止法」を逆手に取り,離婚協議を有利に進めようと利用される懸念があります。「配偶者からの暴力」(1条)には暴言も含まれ,「生命又は身体に対し害を加える旨を告知してする脅迫」(10条)を受けた被害者が心療内科等で診断書を取り付け,警察に相談に行くことは十分に考えられます。比較的容易に診断書を出してくれる心療内科もあるようですし,警察としても「言った言わない」は判断できず,刑事事件として立件するものではないので門前払いまではしないでしょう。

そして,診断書,警察に通報した事実などを付して,裁判所に「保護命令」申立てがなされることは十分に考えられます。「保護命令」申立ては,「更なる身体に対する暴力」か「身体に対する暴力により,その生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいとき」に出されるものであり(10条),暴力を受けた状況などを記載した書面で申し立てます。書面と言っても,当事者しか経験していない状況や事情の説明だけでは真偽の判断が難しいのではないでしょうか。

また,相手方には反論の機会がありますが,どちらかというと有効な反論は難しいという印象です(日常生活で常に録画,録音している人はいませんので)。

そうすると,裁判所は,明らかに事実がないと言えない限り,「もしも」の時を想定して最悪の事態にならないように考える傾向にありますから,「保護命令」が出される可能性は低くないといえます(ただし,申立書への虚偽記載は罰則規定あり)。


これはあくまで私見による懸念ですから,実際に被害を受けている女性を否定するものではありませんし,救済されるべき事案もたくさんあります。ただ,真実は分かりませんが,男性側から暴力の事実などないとお聞きすることがあるため(とてもDVするようには見えない方です),夫婦関係にすきま風が吹いている方は妻に対する言動には十分気を付けるに越したことはないのでしょうね(ほんの些細なやり取りも注意しましょう)。


最後に罰則のまとめです。

「ストーカー規制法」

■ストーカー行為をした者(告訴・要)

6月以下の懲役又は50万円以下の罰金(13条)

■禁止命令等に違反してストーカー行為をした者

1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(14条1項)

「DV防止法」

■保護命令に違反した者

1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(29条)

■保護命令申立において,虚偽記載をして申立てた者

10万円以下の過料(30条)