告訴も被害届と同じ?

告訴について、少しだけ。

前回の続きです。

被害届では捜査義務が生じませんし、処分結果について被害者に通知する必要がないことは先に述べたとおりです。

一方で、告訴は、被害者が捜査機関に犯罪を申告し「処罰を求めること」をいい、被害届と同じく口頭での申告でも構いません(告訴調書を作成してもらいます)。

告訴を受けた警察官は「速やかに書類と証拠物を検察官に送付しなければならない」(刑訴法242条)とされており、先に述べたように告訴人等に処分結果を通知しなければなりませんので、この点が被害届と大きな違いといえるでしょう。

しかし、逆にいえば、このような義務を伴う告訴は被害届以上に受理してもらうのが困難ともいえます。

そのような場合は、告訴状を作成し受理してもらう(受理させる)ことになるでしょう。ただし、漫然と作成しても受理してくれませんので、犯罪要件(構成要件)に該当することを明確にしなければならず、一般の方が作成するのは難しいかもしれません。

ただし、専門家が作成したからと言っても、実際には、告訴状を預かる(受理はしない)という形式を取り、事実上、告訴状に記載している事実関係を確認してから(捜査の端緒としての意味はあるでしょう)、事実関係がある程度明らかになってから正式に告訴状を受理するという扱いをされることも少なくありません。

告訴が要件となっている犯罪(親告罪)については「犯人を知った日から6箇月」以内に告訴しなければなりません(ただし、強姦罪等では撤廃されています)。

なお、犯人の何人たるかを特定し得る程度の認識で足り、犯人の住所、氏名等の詳細を知る必要はなく、詳細まで分からなくても告訴はできますので門前払いの理由にされないよう注意が必要です。

告訴は公訴提起までは取り消す(撤回)ことができますが、取り消してしまうと更なる告訴ができなくなります(刑訴法237条)ので、示談等による取り消しは慎重にする必要があります。

 被害届でも告訴状でも、被害者の声を真摯に受け取ってもらいたいものです。



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