退職者は商売敵になるかも?

こんにちは,ホスピタリティ弁護士の長屋です。
今日から天神祭です。明日は陸渡御,船渡御と続き,フィナーレは奉納花火です。陸渡御は,催太鼓,猿田彦,地車と色んな行列が老松通りを通過していきます。事務所が通り沿いにあるので間近で見ることができるので楽しみです。奉納花火は音だけになりそうですが・・・。

 さて,前回の続きです。

終身雇用の時代が終わり人材の流動化が進んでいる昨今,有能な従業員が退職し転職・独立をすることは珍しくありません。経営者としては,従業員の流出を食い止めることが一番いいことなのでしょうが,実際にはなかなか難しいのも現実です。

 しかし,人材の流出を止めることは難しくても,会社のノウハウや営業秘密を利用されることは食い止めなければなりません。

 不正競争防止法2条6項の「営業秘密」(「秘密として管理されている生産方法,販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって,公然と知られていないもの」)に該当する場合は,これを不正に使用・開示した退職者に不正競争防止法上の責任(民事,刑事)を問うことができます。

しかし,上記「営業秘密」に該当しない情報などは同法で保護されませんが,このような情報の不正利用により損害を与えられることもあり,どのように会社を守っていくかが問題になります。

一つの方法が,退職者に競業避止義務を負わせることです。

退職者が同義務を当然には負わないことは前回述べたとおりです。どんな仕事に就くのも自由でなければならず,この自由を制約するためには明確かつ合理的な根拠規定がなければなりません。労働契約書や就業規則に定めておくことが必要ですし,もし何ら規定を定めていなければ,退職時に合意(誓約)させておくことが必須になります。何もなければ退職者の責任を問うことはできません。

ただし,単に競業避止義務を明記しておけば足りるというものでもありません。

次回に続く。